夢は世界平和です

「核なき世界」を目指して。できることから少しずつ

2018年 - イラン核合意をめぐる動きについて

2018年はイランと米国の間で緊迫の度合いが増した年でもあったと思います。この緊張関係の背後にあるものは何なのか?簡単にではありますが、メモを兼ねていくつかの記事をまとめました。

 

【イラン核合意とは】

核兵器開発の疑惑をかけられたイランと米英仏独中ロが2015年7月に結んだ合意。イランが核開発を大幅に制限する見返りに、16年1月に米欧が金融制裁や原油取引制限などの制裁を緩和した。イランが核兵器に転用できる高濃縮ウランや兵器級プルトニウムを15年間は生産しないことや、ウランを濃縮する遠心分離機の大幅削減も盛り込まれ、緊張が緩和した。」

www.asahi.com

 

まず、本ページにおけるまとめを箇条書きにしてあげておきます

 

・「イランは核合意を守っている」というのが米国を除く当事者間の認識

・背景にイランとイスラエルの対立、全米ライフル協会およびイラン・コントラ事件関係者の存在が影響している可能性も

・国際連携による核合意の維持をブログ主も期待

 

 

特筆すべき事象としては、2018年5月に米トランプ大統領が核合意からの離脱を発表したことがあります。

(2018年5月8日)

www.asahi.com

 

【そのほかの関係各国の反応】

トランプ政権の対応に対し、EU 加盟の英仏独は制裁に反対の姿勢を示してきました。

www.sankei.com

 

また、ロシアもこの問題については欧州と協調しています。

www.tokyo-np.co.jp

 

中国も同様です。

jp.reuters.com

 

 

【ブログ主の主張】

以下の二つの記事に同意いたします。

www.nikkei.com

 

www.sankei.com

 

イラン核合意と、銃乱射事件の間には飛躍があるように思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、下に示すように、両者はイラン・コントラ事件などを一つの鍵として、結びついている可能性があります。

 

 

www.mag2.com

 

アメリカの決定を支持しているのは、イランと敵対するイスラエルサウジアラビアだけです。2015年の「イラン核合意」に参加したイギリス、フランス、ドイツ、中国、ロシアは、皆反対の立場。さらに、世界の核を監視するIAEAも、トランプの決定を強く非難しています。なぜ? イランが、「核合意」を守っているからです。

 

石油利権とブッシュ(子)政権

アメリカが、「イランは核兵器を開発している!」とさわぎはじめたのは、02年のこと。この時、大統領はブッシュ(子)で、「イラク大量破壊兵器がある!」と批判していました。イラクの方は、03年に戦争がはじまっています。なぜ、この時期、ブッシュはイラクやイランにアグレッシブだったのでしょうか?

 

当時、「アメリカ国内の石油は、2016年までに枯渇する」と予測されていた。それで、中東支配を進めることが絶対必要だった。「…ていうか、イラクについては、『大量破壊兵器』が攻撃理由でしょ?」などと突っ込む人はいるでしょうか? フセインが「大量破壊兵器保有している」というのは、アメリカのウソです。そのこと、実はアメリカ自身も認めている。』

 

 

www.afpbb.com

 

ここが知りたい特集 米政府のイラク調査報告/イラク大量破壊兵器 5つの作り話/米調査グループ報告ではっきり

2004年10月24日 (日) 「しんぶん赤旗

 

 

www.cnn.co.jp

 

上のように、2003年のイラク侵攻に関する米側の根拠は崩壊していると言えますが、現在もなお、このような不正確な情報によって中東が不安定化する、あるいはより積極的に不安定化させようという向きがあるようです。

 

parstoday.com

 

www.bbc.com

 

イスラエルとイランはなぜ敵対しているのか

1979年にイラン革命が起こり、イスラム教強硬派が権力を掌握して以来、イランの指導者はイスラエルの排除を訴えてきた。イランはイスラエルのことを、イスラム教支配地域を違法に占拠する者と位置づけ、同国の存在権を否定している。

 

これに対してイスラエルはイランを、イスラエルの存在に対する脅威とみなし、イランは核兵器を得てはならないと力説してきた。イスラエルの指導者はイランの中東における影響力拡大を恐れている。』

 

 

以上のような情報から、米国のイランに対する高圧的な政策 (イラン核合意からの離脱を含む) は、石油利権やイスラエルとイランの対立関係が背景にあることが予想されます。
加えて、米国内の一部層、軍や情報専門家などが「イラン」というワードに対して複雑な思いを抱いている可能性が考えられます。とりわけ「イラン・コントラ事件」の関係者にその鍵がありそうです。

 

 

www.democracynow.org

 

ジョージ・H・W・ブッシュによるイラン・コントラ共謀者たちへの恩赦がトランプ の刑事免責の土台を築いた過程
 レーガン政権がレバノンアメリカ人人質解放を確実するためイランに違法に武器を売却し、連邦議会を欺き裏をかくべく謀略をめぐらした際の副大統領はH・W・ブッシュ でした。武器の売却益はニカラグアの反政府組織「コントラ」に違法に資金供給するために使われました。 H・W・ブッシュ が大統領だった1992年、彼はキャスパー・ワインバーガー、ロバート・マクファーレーン、エリオット・アブラムスを含む、イラン・コントラ事件の何人かの被告に恩赦を与えました。

http://democracynow.jp/dailynews/18/12/04/3

 

 

www.bbc.com

全米ライフル協会、新会長にノース氏 イラン・コントラ事件の中心人物 (2018年05月8日)
『米政治に大きな影響力を持つ全米ライフル協会(NRA)は7日、1980年代のレーガン政権を揺るがした「イラン・コントラ事件」の中心的人物だったオリバー・ノース氏を新会長に選出した。
ノース氏は、米国と敵対するイランに秘密裏に武器が輸出され、その売却益が中米ニカラグアの親米右翼ゲリラ「コントラ」に流れていたという、いわゆる「イラン・コントラ事件」で、計画の責任者として議会の公聴会などで批判の矢面に立った。』

 

 

ノース氏が全米ライフル協会の会長に就任した時期と、トランプ大統領がイラン核合意からの離脱を表明したのは共に 2018年5月であり、時期的に一致しています。これ以降、トランプ大統領はイランへの態度を強硬的なものにしていきます。自国企業にマイナスの影響が出ることもお構いなしです。

 

www.bloomberg.co.jp

 

www.bbc.com

(2018年11月5日)

 

 なお、2018年11月には米中間選挙が行われました。
 トランプ政権の上述のような強硬姿勢は支持層へのアピールであった可能性もあります。今後もイランへの根拠の脆弱な圧力が続くようであれば、それは同様の人気取りのポーズであるかもしれません。したがって引き続き注視していくことが重要であろうと考えます。

 

www.asahi.com

 

余談ですが ジョージ・H・W・ブッシュは CIA 長官も務めた人物であり、マイク・ポンペオも第24代 CIA 長官を務めています。

 

 

全米ライフル協会に関わる米国社会およびトランプ氏の反応など】

 2018年は、イラン核合意の他に、イラン・コントラ問題に関わる人物について特筆すべき動きがあった年であり、また全米ライフル協会に関する米国社会の反応についても、同様の都市であったと思います。以下に、簡単に事象を列挙します。

 

(2018年2月15日)

www.bbc.com

 

www.cnn.co.jp

『トランプ氏は会談で、共和党のパット・トゥーミー議員と民主党のジョー・マンチン議員に対し、2012年のサンディーフック小学校乱射事件を受けて策定した法案に、銃購入の最低年齢を18歳から21歳に引き上げる条項を盛り込んだか尋ねた。

 トゥーミー議員が盛り込まなかったと答えたところ、トランプ氏は「NRAを怖がっているからだ」と指摘した。

 トゥーミー議員は会談後、トランプ氏の発言について、自分個人に向けられたものだとは思わないと主張。「議員全般に言及していたのだと思う」と述べ、2010年以降はNRAの献金を一切受け取っていないと強調』

 

2018年3月25日

www.asahi.com

『米フロリダ州の高校での銃乱射事件を受けて、高校生が呼びかけた「私たちの命のための行進」が24日、首都ワシントンで開かれた。NBCテレビによると約80万人が参加。全米で約800カ所、欧州やアジアなどでも集会が開かれ、銃規制と学校の安全を訴えた。

 ワシントンから遠く離れた西海岸でも各地で「私たちの命のための行進」が行われた。サンフランシスコでは小さな子どもから大人までデモに加わり、市内中心部の大通りを行進した。

 「今日1日で何人が殺された、NRA?」。参加者たちは、銃規制を拒み、政治家に献金を続けるロビー団体全米ライフル協会」(NRA)に怒りの声を張り上げながら歩いた。手には段ボール紙などに「次は私?」「もう遺書を書かないといけないの?」などと手書きしたプラカード。』

 

2018年4月18日

www.sankei.com

『父ブッシュ元米大統領の妻、バーバラ夫人が17日死去した。92歳。ブッシュ氏の事務所が発表した。死因などは明らかにされていないが、近年はうっ血性心不全慢性閉塞性肺疾患で入退院を繰り返していた。同事務所は15日、バーバラさんの健康状態が悪化し、今後は治療を取りやめると発表していた。』

 

www.afpbb.com

 

2018年5月8日

www.sankei.com

『保守派の間では、同事件でのノース氏の行動を「自由世界を守るための愛国的行為だ」として熱烈に支持する声が強い。』

 

2018年5月4日

www.bloomberg.co.jp

『トランプ米大統領は4日、テキサス州ダラスで開かれた全米ライフル協会(NRA)の年次大会で演説し、銃所持の権利を支持すると明言した。大統領はフロリダ州の高校での銃乱射事件の後、銃購入時の身元確認の強化など、NRAが以前から反対していた銃規制の容認を検討していた。』

 

2018年11月12日

wedge.ismedia.jp

『選挙結果について、「下院は民主党に奪われたが、上院でわが方が過半数からさらに議席を増やした。全体では双方相討ちだ」(共和党全国委員会幹部)との指摘がある。

 

しかし、これは説得力のある総合評価とは言い難い。なぜなら、共和党の上院での改選議席数は当初から民主党よりはるかに少なく、現状より多少の上積みもある程度織り込み済みだったからだ。これに対し、全員改選の下院で主客が完全に入れ替わり、民主党議席をかなり伸ばしたことの意義は過小評価できない。

 

 しかも特筆すべきことは目下、アメリカの景気、雇用は着実に拡大、きわめて好調な経済状況下にあるだけでなく、内外情勢も比較的安定しているにもかかわらず、今回このような選挙結果に至ったという事実だ。本来なら、政権与党の共和党が上下両院ともに引き続き過半数を制してもおかしくなかった。その意味を改めて考えてみる必要がある。』

 

2018年12月1日

www.cnn.co.jp

 

2018年12月20日

www.bbc.com

 

トランプ大統領は 12月にシリアからの米軍撤退を表明しました。これまでの米国の主張、特に対イラン政策面において整合しないと考えられる行いのため、今後の中東情勢の混乱が心配されます。イスラエル、トルコ、イラン、ロシアといった関係各国の動きを注視していきたいと思います。

 

news.yahoo.co.jp