はじめに
本ブログは、被爆3世であるところのブログ主が、世界平和、中でも核兵器の廃絶を願い、その実践のために、核にまつわる様々な情報を集約することを目的としています。
核兵器の廃絶を訴えることは、単におぞましい悲劇を繰り返さないため、というだけでなしに、私たちの社会や生活を安定したものにするために、極めて現実的かつ有効な主張であると考えます。つまりそれは、「とうてい叶いそうもない夢物語」や「意識高い系のポーズ」などではなく、私たちの暮らしを良くしていくための、ごく自然な要求なのです。
「核保有国は、核兵器の近代化に巨額の資金をつぎ込んでいる。2017年には1兆7千億ドル以上のお金が武器や軍隊のために使われた。これは冷戦終了後、最高の水準だ。世界中の人道援助に必要な金額のおよそ80倍にあたる」(国連 グテーレス事務総長、2018年8月9日、長崎平和祈念式典)
【 我が国における問題点】
2018年11月1日、国連総会位置いて核軍縮に関する決議案の採決が行われました。日本政府は、核兵器禁止条約の署名・批准を促す決議案に反対したとのこと。
以下、核兵器廃絶国際キャンペーン (ICAN) 国際運営委員の川崎さんのブログから、共感した箇所を抜粋します。
「日本政府は核兵器禁止条約に署名しない理由を、核兵器廃絶という目標は共通だがそのための「アプローチが異なる」からだと説明してきた。
禁止条約の掲げる目標は共有しているというのなら、同条約に署名・批准できる国がする分にはさせておけばよいではないか。ただし日本はまだ署名できる状態にないといって、棄権すればよいはずだ。核兵器禁止条約促進に反対ということは、日本は、核兵器禁止条約の署名・批准国が増えないでほしい、同条約が発効しないでほしいと思っているということなのか。」
実に残念なことですが、現政権は核兵器廃絶に対する消極的な姿勢、逆にいうと核利用に対する肯定的な姿勢を示していると言えます。その根底には何があるのか?示唆に富んだ端的な例を挙げておきたいと思います。
戦後、日本の原発導入を推進したのは、中曽根康弘(元首相)、正力松太郎(読売新聞社長、A級戦犯)、河野一郎(農林大臣、経済企画庁長官)らである。
上記記事のリンクが切れてしまったので、こちらのサイトよりご参考ください
東電・吉田昌郎を描いて見えた原発の“嘘” via 日経ビジネスonline –
安倍晋三首相や渡辺恒雄読売新聞グループ本社主筆が駆けつけ、中曽根氏のライフワークといえる憲法改正に向け気勢を上げた。
だが、そのおじいちゃんは、戦後、内閣総理大臣をつとめただけの人物ではない。戦時中、東条英機首相(当時)率いる内閣の閣僚として戦争遂行の一翼を担い、一時は「A級戦犯」容疑者として拘留されていた戦争犯罪者でもある。
当時、海軍中尉だった中曽根康弘元首相が直接慰安所づくりにかかわっていた事実を指摘
新日鐵住金をはじめ、三菱重工業、IHI、東芝、日産自動車、パナソニック、日本郵船、住友化学、王子製紙など日本を代表する企業が並んでいる。麻生太郎・副総理が社長を務めていた麻生セメント、安倍首相の昭恵夫人の実家が創業家の森永製菓も含まれている。
原爆は、何も現時点の国家区分における日本国だけの問題ではありません。
放射性物質に関する被曝問題等も同様です。
上記の BTS の Tシャツ問題一つとってみても、我が国の核問題に関する報道の姿勢は必ずしも首尾一貫しておらず、極めて不誠実であるとブログ主は考えます。国際社会への影響力を考えれば、「日本政府」が核兵器禁止条約促進に反対したことのインパクトは少なくないと思われます。
個人的には受け入れ難いものであり「日本政府」の真意を問いたいと考えています。
各報道機関は「日本政府」の核兵器廃絶への具体的アプローチに関し、国民の側からも建設的な議論ができる環境を醸成すべく、情報提供してほしいと思います。
【関連リンク】
・核兵器廃絶国際キャンペーン 「ICAN」(International Campaign to Abolish Nuclear Weapons)
・ヒバクシャ国際署名
・映画「この世界の片隅に 」
後述する理由から、ブログ主はこの映画と女優「のん」(能年玲奈)さんを応援しています。
*本ブログのタイトルに関しては、女優の綾瀬はるかさんの言葉 (2018年2月10日) をお借りしました。ブログ主の、綾瀬はるかさんへの賛同の意を表すものです。
綾瀬はるか「世界平和」の夢にこめた「祖母との約束」 | 女性自身
サウジアラビアと中国の接近
ーイスラム共同体はどのように反応するのか。解釈権問題のゆくえー
2019年4月13日起稿
本ブログの「エクリチュール - パロール問題 - あるいはイスラム法とその解釈権に関する問題 -」
ame-hiroshima-nagasaki.hatenablog.com
という項において、「聖典 (権威) の解釈」をめぐる争いに関するパリサイ人とナザレのイエスやパウロを始めとする人々、あるいはスンニ派とシーア派の齟齬、について触れました。
解釈権をめぐるこのような齟齬は、現代において各々の宗教による共同体の枠組を超え、新しい (良い意味とはかぎりません) 「共同体」の枠組みを形成しつつあるとブログ主は考えます。それは、ウイグルのムスリムを迫害する「中国」と、「サウジアラビア」の接近の中にも見出せると思います。
すなわち、自らの教義解釈のほかには権威を認めず、異なる解釈をするものを抑圧する姿勢を是とする「共同体*」です。これらの共同体は、掲げる教義は異なっていても、暴力的、ある教義を極めて高圧的に、そして著しく不適切な方法で組織的に強要する点において共通です。事実、その強要の過程で生じている人権侵害 (肉体的・精神的な殺人を含む) には目に余るものがあります。
ブログ主はこのような高圧的な姿勢には断固抗議します。
(*福音派の影響を強く受けているアメリカ合衆国大統領とスンニ派の盟主をうたうサウジアラビアのムハンマド皇太子の接近もこの「共同体」の文脈で捉えられると思います。)
人権団体が中国を非難、イスラム教徒に「組織的な人権侵害」
トルコが中国のウイグル弾圧を批判「人類にとっての大いなる恥」
新疆ウイグル自治区における、ウイグルのトルコ系住民、その他のムスリム共同体員に対する基本的人権の侵害は、とりわけこの2年間で悪化し、国際社会の問題となっている。
ウイグル弾圧の中国がサウジ皇太子を厚遇した訳
サウジと中国、製油・石油化学施設の建設で合意
トルコとサウジアラビア、おなじ「イスラム」を掲げながら、両国の中国のムスリムの迫害に対する姿勢は異なっているように見えます。トルコが中国を非難する (できる) 背景には何があるのでしょうか?
サウジvsトルコ、その対立の根源|ニューズウィーク日本版
「近代トルコの選んだ「世俗的なイスラム国家」の道は、筆者を含め、多くのイスラム教徒に希望を与えた。それはイスラムと民主主義の共存を実現するものにみえた。エルドアンも、当初はそれを支持していたはずだ。
しかしこの5年間でエルドアンは変身し、トルコはジャーナリストを投獄し、反政府派を弾圧し、憎悪とパラノイアが支配する個人崇拝の「エルドアン教」の国になった。
それでも、やはりエルドアンが掲げているのはトルコバージョンのイスラムだ。つまりサウジアラビアの支配層に比べたら、同じスンニ派でもずっと穏健で、現代的だ。そしてこの信仰上の違いゆえに、トルコとサウジアラビアは宿命的に対立する。
まずはイランとの関係だ。サウジアラビアは、シーア派のイランに対するスンニ派陣営の盟主を自任しており、シーア派へのワッハーブ主義に根差した深い憎悪を抱いている。
この好戦的な姿勢は、イランを孤立させたいアメリカ政府とイスラエルのタカ派には魅力的かもしれない。だが、それは地域の無益な宗派対立を激化させる。いい例がアラビア半島南部のイエメンにおける内戦だ。
対照的にトルコは、シリア内戦に関して何年もイランと対立してきたというのに、イランを敵視していない。「私が信ずるのはシーア派でもスンニ派でもない。イスラムの教えだ」とエルドアンは語っている。
宗派対立の拡大を防ぐには適切な立ち位置だ。イランの影響力に対抗する最善の策は(脅しや攻撃ではなく)外交だと、エルドアンは考えている。」
このように、トルコはイスラムの現代化 (ここでは現代の技術や他国で広く合意されている価値観に合わせて up to date バージョンにすること、という程度の意味とします) には積極的であるように思われます (その過程で問題はまた色々とあるにしても)。逆にそのことが、現代における「イスラム共同体のありよう」への関心を高め、中国のムスリムを擁護することにつながっているのかもしれません。
また、中東におけるアメリカ合衆国やサウジアラビアのイラン敵視政策は、かならずしも中東諸国のそれぞれの意思と一致するものではないようです。「イジュティハードの門」の解放に関する問題 (イスラムの現代化の問題) に直面している各国としては、むべなるかなとブログ主は思います。
【中国におけるムスリムへの人権侵害】
以下には、中国で行われているムスリムへの、そしてさらには信仰の自由に対する迫害に関する情報を列挙します。
ウイグル族拘束 中国の人権侵害見逃すな
中国が新疆(しんきょう)ウイグル自治区で、100万人以上の少数民族を再教育施設に強制収容した疑いが出ている。
催涙ガスにスタンガン、手錠…中国ウイグル収容施設の実態 180か所超存在
中国の新疆ウイグル自治区で大勢のウイグル人のイスラム教徒らが再教育施設に拘束されているとされる問題
【そのほか人権侵害・信仰の自由に関する迫害】
中国当局、「地下教会」の牧師らを拘束 80人が行方不明 - Infoseekニュース
中国南東部で、プロテスタントの有名な非公認教会の牧師や教会員が当局の家宅捜索を受けた後、数十人が行方不明になっている... 同国では宗教に対する締め付けが強まっている。
中国当局の新疆訪問要請 欧州外交官ら「宣伝に利用される」と警戒
中国新疆ウイグル自治区の強制収容施設に対する国際社会の非難が高まるなか、中国当局はこのほど、欧州各国の駐中国大使や外交官に新疆ウイグル自治区の視察を口頭で要請した。
一部の外交官らは、中国当局の要請を受け入れれば、新疆訪問が中国当局の対国内外の宣伝材料として利用されることを危惧する。最近、一部の外交官が新疆を訪問したが、中国政府系メディアは外交官らが「再教育収容所」を支持するかのように写真を撮影し、報道を行った。
これらは、人権侵害というワードでくくることができると思います。中国においては、信仰の自由に対する迫害だけでなく、一人っ子政策 (1979〜2015) によって生じた男女比の構造的問題から、女性への人権侵害があることも予想されます。それについては改めて項目を設けたいと考えます。